どんなアレンジなのかとyoutubeのほうで疑問に思われた方がいたので、冒頭の部分の楽譜を。
あまりいないとは思いますが、演奏してみるという酔狂な方がいらっしゃれば、noteでpdf楽譜を販売してみます。
ギタリスト橋口武史の情報をお届けします
どんなアレンジなのかとyoutubeのほうで疑問に思われた方がいたので、冒頭の部分の楽譜を。
あまりいないとは思いますが、演奏してみるという酔狂な方がいらっしゃれば、noteでpdf楽譜を販売してみます。
アンコールは、教会カンタータHerz und Mund und Tat und Leben (心と口と行いと生活で)BWV147よりJesus bleibet meine Freude(イエスは変わらざるわが喜び)、と言われてもピンとくる人は少ないでしょうね。英語、Jesu, Joy of Man’s Desiringから訳された「主よ、人の望みの喜びよ」の方が馴染みがありますね。
バッハの作品の中でも人気があるので様々なアレンジがありますが、M.ヤヌスが歌詞を書いた讃美歌の部分を、キリスト教系の高校のとき陸上部なのに合唱部に駆り出されるくらい歌が上手な岩﨑さんにお任せする編曲にしました。
ブラームスと同じで、もともと私がソロでも弾いていたのですが、二人で弾けば原曲に近いことができるはず、という狙いです。
バッハ縛りの後半はお互いのソロの後、6弦をEに上げて(前半からここまでずっとD-durかmollでした)フランス組曲第4番。組曲なのにプレリュードがなくていきなりアルマンドでスタートです。アレンジを迷って二種類作って、岩﨑さんにどちらがいいか決めてもらいました。出だしの音形をプレリュードっぽくアルペジオ風にするか、アルマンドの付点のリズムにするか。こういうのが編曲の醍醐味ですね。
フランス組曲のギターデュオ版の楽譜は昔からありましたが「ただ右手を1st,左手を2nd.に分けただけ」に感じたので、どちらのパートも対等に、まるで会話をしているように聞こえることを目指して楽譜にしました。
全曲だと結構長いので、今回はアルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、ジーグを演奏しました。
3曲目、前半の最後はベートーヴェン。
“Sonata quasi una Fantasia”まるで幻想曲のようなソナタという添え書きがある第14番のピアノソナタ。「月光」と言うと日本のギター弾きはF.ソルのエチュードOp.35-22を想起しますが、このピアノソナタはドイツの音楽評論家、詩人ルートヴィヒ・レルシュタープがベートーヴェンの死後5年が経過した1832年、第1楽章がもたらす効果を指して「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したことに由来する通称で親しまれています。
私は毎月「すたじおGランチタイムコンサート」というのをツイキャスで配信しています。毎回前半はプチジャンという19C.ギターでF.ソルの作品を順番に演奏したりというソロ、後半は下関市からわざわざお越しくださる中野義久さんとのデュオでここのところは横尾幸弘氏の編曲による作品をお届けしています。2024年8月のvol.85では月光ソナタの一楽章を演奏しました。
一楽章を弾いたら残りも弾きたくなって編曲しました。なので、第一楽章は殆ど横尾編です。少しだけ手を加えました。三楽章はピアニストにとっても難曲のようです(どっかの動画で100万人に一人しか弾けない、とか言ってるのはどうかと思います)が、二人で手分けしてなんとか弾いてみました。今回のコンサートが初お披露目でした。練習に一番時間がかかりました。岩﨑さんには負担をかけてしまいました。
2曲目はブラームスの名曲。
平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」の第1章で主人公、天才ギタリストの蒔野聡史がデビュー25周年記念リサイタルをサントリーホールで開き、そのアンコールの二曲目として自身の編曲で演奏した、という設定になっています。
当日の演奏の中で唯一満足のいく出来で、小峰洋子さんとの出会いの場面で「アンコールのブラームス、編曲、素晴らしかったです。本当にうっとりしました」「グレングールドのピアノが好きでしたけど、これからは蒔野さんのギターで聴くことにします」と最大の賛辞を贈られた曲。
このブログにも書いていますが、私は「ギタリスト橋口武史と読むマチネの終わりに」という解説コンサートをしていますが(最近滞ってます)、第1回の時はこのブラームスはピアノの名曲だからギターでは演奏できない、小説の中だけのことだ、と思ってピアニストの中尾さんに演奏してもらいました。
ところが!そののち、鈴木大介さんがギター用に編曲した楽譜が出版されたのでギターでは弾けない、なんて言い訳ができなくなってしまいました。この音はどうしても必要じゃないかなあと思うところがあったので、イ長調からニ長調に移調するというアイデアはありがたく拝借して結局自分で編曲してソロで演奏していました。
しかし、やはり元がピアノ曲。鈴木大介さんが(おそらく泣く泣く)カットした音を復活させるとひっじょーに難しくなってしまい、流れが悪くなってしまってました。ギター二重奏にすると良さが出るんだろうけどなあ、とずっと思いながら弾いていました。
ギターデュオって大きく分けると2つのタイプがあると思います。演奏者の個性の違いをぶつけ合ってそれを楽しむタイプ、もう一つは、どっちが弾いているのかがわからないくらい、もしくは、まるで一人で弾いているかのようなデュオ。
一曲目のモーツァルトは前者のタイプの方が面白いと思いますが、このブラームスはロマン派のパーソナルな曲調なので後者じゃないと。そうなると共演者が限られてきます。同門と言えど、長崎ギター四重奏団のメンバー山口修、坂元敏浩、平戸健吉、いずれの先輩がたともちょっと違う。今、思いつく限りでは岩﨑さんが適任、と言うか岩﨑さんとしか弾ける自信がありません。
4月の橋口屋のときよりちょっと醒めた演奏になってしまった気もします。
中間部のコラールのような部分で内声を半音間違えてしまいました。大事な音なのに…