GFAギターコンクール2025配信を見て思うこと

先日、もう二週間ほど前になりますが、YouTubeでGFAギターコンクール2025を観戦しました。

ファイナル(日本風に言うと本選)
セミファイナル(二次予選)その1その2
若者の部ファイナル
二重奏の部

GFA、アメリカギター協会主催の国際ギターコンクール。ラジオ・フランス主催のパリ国際ギターコンクール、通称「パリコン」無きあと、世界最高峰のギターコンクールの一つだと思います。

しかしすごい時代ですね。自宅スタジオのソファでくつろいで地球の反対側で行われているコンクールをスクリーンに投影した映像を見て感想をチャットして。

そもそもコンクールってヘタにコンサートを聴きに行くよりも楽しかったりします。
さらにリアルに会場だと演奏中におしゃべりするわけには行きませんが、配信だと途中で止めたりもできますし、誰かと感想を話しながらでも可能です。

音量や微妙な音質はやはり実際に会場で聞かないとわかりませんが、指使いや表情など客席からだと遠くて見えにくいものも、カメラワークのお陰で楽しめたりもします。

聴く側として「観戦」という言葉を使いましたが、演奏する側、参加者は「戦い」という意識を持たないほうがいいでしょう。

そもそも音楽に点数をつけるのは不可能です。それでも無理やり順位をつけるのがコンクールです。審査員が変われば順位も違ってくる可能性も大きいです。
「コンクールは水物」と言われます。1位以外の順位の人はたいていスッキリしない気持ちが残ります。

コンクールの権威は昔に比べたら落ちたとも言われます。それでもコンクールは無くならないし、むしろ増えているような気がします。
順位だけを追い求めずに上手に活用すればいいと思います。

部門が分かれていて応募しやすいコンクールも結構ありますので、特にアマチュアの皆さんは発表の場の一つとして「楽しんで」参加してみることをおすすめします。

主よ、人の望みの喜びよ BWV147 / J.S.バッハ

アンコールは、教会カンタータHerz und Mund und Tat und Leben (心と口と行いと生活で)BWV147よりJesus bleibet meine Freude(イエスは変わらざるわが喜び)、と言われてもピンとくる人は少ないでしょうね。英語、Jesu, Joy of Man’s Desiringから訳された「主よ、人の望みの喜びよ」の方が馴染みがありますね。

バッハの作品の中でも人気があるので様々なアレンジがありますが、M.ヤヌスが歌詞を書いた讃美歌の部分を、キリスト教系の高校のとき陸上部なのに合唱部に駆り出されるくらい歌が上手な岩﨑さんにお任せする編曲にしました。
ブラームスと同じで、もともと私がソロでも弾いていたのですが、二人で弾けば原曲に近いことができるはず、という狙いです。

フランス組曲 No.4 BWV815より / J.S.バッハ

バッハ縛りの後半はお互いのソロの後、6弦をEに上げて(前半からここまでずっとD-durかmollでした)フランス組曲第4番。組曲なのにプレリュードがなくていきなりアルマンドでスタートです。アレンジを迷って二種類作って、岩﨑さんにどちらがいいか決めてもらいました。出だしの音形をプレリュードっぽくアルペジオ風にするか、アルマンドの付点のリズムにするか。こういうのが編曲の醍醐味ですね。

フランス組曲のギターデュオ版の楽譜は昔からありましたが「ただ右手を1st,左手を2nd.に分けただけ」に感じたので、どちらのパートも対等に、まるで会話をしているように聞こえることを目指して楽譜にしました。

全曲だと結構長いので、今回はアルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、ジーグを演奏しました。

ピアノソナタ No.14 Op.27-2「月光」/ L.ベートーヴェン

3曲目、前半の最後はベートーヴェン。
“Sonata quasi una Fantasia”まるで幻想曲のようなソナタという添え書きがある第14番のピアノソナタ。「月光」と言うと日本のギター弾きはF.ソルのエチュードOp.35-22を想起しますが、このピアノソナタはドイツの音楽評論家、詩人ルートヴィヒ・レルシュタープがベートーヴェンの死後5年が経過した1832年、第1楽章がもたらす効果を指して「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したことに由来する通称で親しまれています。

私は毎月「すたじおGランチタイムコンサート」というのをツイキャスで配信しています。毎回前半はプチジャンという19C.ギターでF.ソルの作品を順番に演奏したりというソロ、後半は下関市からわざわざお越しくださる中野義久さんとのデュオでここのところは横尾幸弘氏の編曲による作品をお届けしています。2024年8月のvol.85では月光ソナタの一楽章を演奏しました。

一楽章を弾いたら残りも弾きたくなって編曲しました。なので、第一楽章は殆ど横尾編です。少しだけ手を加えました。三楽章はピアニストにとっても難曲のようです(どっかの動画で100万人に一人しか弾けない、とか言ってるのはどうかと思います)が、二人で手分けしてなんとか弾いてみました。今回のコンサートが初お披露目でした。練習に一番時間がかかりました。岩﨑さんには負担をかけてしまいました。