この記事はnoteに掲載したものと同じです。
クラシックギターを愛する皆さん、こんにちは! 初めてギターに触れた方も、長年親しんでこられた方も、誰もがきっと「いい演奏をしてみたい」という気持ちを抱いていることと思います。
このシリーズでは、「いい演奏」を目指すすべての皆さんと一緒に、音楽との向き合い方や、演奏をより深く、魅力的にするための探求を始めます。
さて、「いい演奏」とは一体どんな演奏を指すのでしょうか?
CDで聴くプロの完璧な演奏? 難しい曲を速く、正確に弾くこと? それとも、聴いている人が思わず感動してしまうような演奏?
もちろん、これら全てが「いい演奏」の一つの側面であることは間違いありません。しかし、どんなレベルの弾き手であっても、「いい演奏」を目指すことは可能です。そして、その定義は、技術レベルによって決まるものではありません。
あなたにとっての「いい演奏」を見つけよう
「いい演奏」の本質は、技術の巧拙よりも、あなたがその音楽に対して抱く想いを、ギターという楽器を通してどれだけ素直に、そして丁寧に音にできるかにあると私は考えます。
楽譜に書かれた音符を正確に弾くことは、音楽を形作る上でとても大切です。しかし、それはあくまで音楽を表現するための「手段」です。目的は、その音を通して、作曲家が描いた世界や、あなた自身が音楽から感じ取ったものを聴き手に伝えることです。
例えば、初心者の方が一生懸命練習した短い曲を、心を込めて、その曲の雰囲気を大切に弾いたとします。たとえ小さなミスがあったとしても、その演奏から音楽への愛情や、伝えようとする気持ちが感じられれば、それは聴く人にとって十分に「いい演奏」になり得るのです。
大切なのは、あなたが今できる範囲で、最大限に音楽と向き合うことです。
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楽譜に書かれた強弱や記号に注意を払ってみる。
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メロディーを歌うように弾いてみる。
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曲の背景や作曲家の気持ちに想像を巡らせてみる。
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そして、自分が弾く音一つ一つに耳を澄ませてみる。
これらの積み重ねが、あなたの演奏をより豊かにし、「いい演奏」へと繋がっていきます。
「いい演奏」は、音楽を愛する心から生まれる
「いい演奏」を目指す上で最も大切なことは、きっと「音楽を愛する心」です。あなたが弾く曲が好きで、その曲の魅力を伝えたいという気持ちがあれば、自然とどうすればより良く弾けるかを考え、練習にも熱が入るはずです。
完璧な演奏を目指すのは素晴らしいことですが、ときに完璧を目指しすぎるあまり、音楽を奏でる喜びを見失ってしまうこともあります。肩の力を抜いて、まずは「音楽を楽しむこと」を一番大切にしてください。その楽しみが、あなたの演奏を輝かせる一番の原動力になります。
このシリーズで探求すること(シリーズ予告)
「いい演奏」への道は一つではありませんが、共通して大切な要素は存在します。このシリーズでは、それらの要素を共に探求していきます。
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楽譜に書かれていない情報も読み解く、音楽を深く理解するための「アナリーゼ」。(第2回)
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指先から多彩な音色や表現を生み出す**「音作り」と「アーティキュレーション」**。(第3回)
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音楽を支え、自由に表現するための基礎となる技術(リズム、正確さ)と効果的な練習法。(第4回)
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そして、あなたの解釈を形にし、聴き手に伝えるための表現力と、本番での向き合い方。(第5回)
これらの要素は、レベルに関わらず全てのクラシックギタリストにとって重要です。一緒に学び、あなたの「いい演奏」を見つけていきましょう。
次回予告
第2回では、「いい演奏」の探求において、なぜ楽譜をただ読むだけでなく「理解」することが大切なのか、そしてそのためのツールである**「アナリーゼ」**について、難しく捉えずに始めるためのヒントをお伝えします。
どうぞお楽しみに!