「マチネの終わりに」にはたくさんのクラシックギター曲が登場します。主人公、蒔野聡史がクラシックギタリストだから当然と言えば当然です。
小説の冒頭もサントリーホールでのコンサートのシーンです。途中にも国際ギターフェスティバルだったり、プライベートな場面だったりで蒔野が、また別のギタリストだったりが演奏する設定になっています。
そして第9章ラストシーンがニューヨークのマーキンコンサートホールでのマチネ(昼間)公演、そしてそのコンサートの後にセントラルパークで洋子と…
このコンサートをニューヨークではありませんが、福岡のあいれふホールで蒔野でも福山雅治でもありませんが橋口武史が再現してみよう、というのがコンセプトです。



プログラムの第一部は、ブローウェルの三部構成の名曲「黒いデカメロン」に始まり
ヴィラ=ロボス、武満徹、ロドリーゴと続いて再びブローウェルのソナタで締め括られる構成だった(p.394)



真ん中の3曲は作曲者だけで曲名までは言及されていません。ブックスキューブリックで「何にしようかなと悩んでるんです」と平野啓一郎さんに打ち明けたら、笑いながら「なんでもいいですよ。短い曲で休息してください」と言われましたのでお言葉に甘えて小品で。

物語の大事なシーンで蒔野が洋子のアパルトマンで演奏した(p.140)ヴィラロボスのガヴォットショーロを。

武満徹の作品は冒頭のコンサートでアンコールにイエスタデイが登場(p.10)しますが、これはアレンジものですのでやっぱりオリジナル作品をということでAll in Twilightから全曲だと休息にならないし、二曲目が5弦をGに下げないといけないので1、4曲目を。

ロドリーゴ作品は冒頭サントリーホールでアランフェスの協奏曲を演奏され(p.10)ていますが、さすがにコンチェルトは今回はできません。
また、台北国際ギターコンクールで



10代の参加者が二人もロドリーゴの超難曲「トッカータ」を選んだ(p.246)



という作品も登場します。
平野さんが交友のあるギタリストの面々に「一番難しい曲は何ですか?」と質問したところ、複数のギタリストから「ロドリーゴのトッカータ」という回答があったそうです。「だからってトッカータを弾いてくださいとは言いませんよ」と優しく言ってくださったので、村治佳織さんのロドリーゴ作品集アルバムのタイトルにもなっている「パストラル」を。



後半のプログラムであるバッハの無伴奏チェロ組曲はその代名詞のような第1番、難曲を以って知られる第5番、そして、セゴビア以来ギターの編曲としては最も親しまれている第3番が選ばれていた。(p.397)



バッハの無伴奏チェロ組曲はすたじおGで主催させてもらった、3年に渡る山下和仁さんの「福岡バッハシリーズ」が記憶に新しいですが、リサイタルの後半に3曲も弾くというのは時間的にもちょっと大変です。リピートはカットして長くなりすぎないようにしたいと思いますのでご心配なく。



物語をなるべく忠実に再現しようと思っていますが、アンコールは

ギターに手を掛けて、数秒間じっとしていた。それから彼は…を弾き始めた。その冒頭のアルペジオを聞いた瞬間、洋子の感情は…(p.400)

の「冒頭のアルペジオ」という部分だけを踏襲して別の曲を演奏しようと思っています。

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