日本を代表する作曲家、武満 徹(1930-1996)がイギリスの巨匠、ジュリアン・ブリーム(1933-)の委嘱によって書いたギター独奏作品。日本初演は1988年11月5日サントリーホールにてブリームによって行われた。

その2日後の行われた武満、ブリーム両氏の対談のなかで

T …それはたまたまブリームさんからギターの曲を書いてみないかという話をうかがった時、旅行をしてニューヨークにいたんですけど、ニューヨークの近代美術館でパウル・クレーの素晴らしい展覧会があったんですね。僕は昔からパウル・クレーが大好きなんですけれど、あんなにたくさんの作品が一堂に会したというのは珍しい展覧会でした。その中で一つもう本当に好きな絵があったんです。そのタイトルがもちろんドイツ語で付けられていたんですけれども 英訳では”All in Twilight”というんです。小さな絵でしたけれども、それを見た時にその時僕はギターの曲を考えていたので、めったにないことなんですが、ハッとひらめいたんです。 この “All in Twilight” というのを書きたい。何かこう微妙な乳白色をしていました。僕の記憶の中にあるブルームさんの音の温度とその絵がぴったりだったんです。(現代ギター No.279 1989年1月号 p.40)

と武満は語っている。

4つのパートから成っているが今回は自然、人工の両ハーモニックス奏法と陰影に富んだ和音、時折かすめる断片のような旋律が印象的なⅠと、穏やかな時の流れの中に甘い不安とほろ苦い幸福感を覚えるⅣを演奏する。

全曲に亘って右手の弾弦位置(sul tast:指板寄りで、sul ponticello:ブリッジ寄りで)が細かく指定されているが、これは委嘱者のJ.ブリームの演奏スタイルが反映されている。

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