山下和仁プロフィール

山下和仁 ギター  Kazuhito Yamashita-Guitar

生きながらにして伝説となる人がいる。センセーションを巻き起こしたあと忽然と行方をくらます ー といったような場合に起こりえる現象だが、まず、長い年月を経て、なお人々の記憶に残る鮮やかで強烈なセンセーションなど、ざらにあるものではない。  
 CDアルバムを83点発表していることからわかるように、広大なレパートリーを持つ山下和仁。世界各地の国際ギターフェスティバルに、ジャズやフラメンコの大物と共にクラシックギターの雄として、毎年のように招待されている。ポルトガル・サントティルソでの「4つのギター協奏曲の夕」、メキシコ・クエルナバカでの「アジア作曲家の夕」、スペイン、ベネズエラ、セルビア、スウェーデン、、、欧米各地での公演に加えて、2014年には初のブラジルツアーを行い、各地で熱狂的に迎えられたほか、2015年にはメキシコやボリビアでも公演、同年アメリカツアーでは2014年の兵庫での昼夜2公演「バッハ:無伴奏チェロ組曲全6曲」もそのまま披露された。2016年は、韓国・ソウル公演(ギターオクテット・コリア ー ジャパン)に始まり、長女・紅弓とのデュオでイタリア公演、次女・愛陽とのデュオでポルトガルでリムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」全曲演奏など、3度渡欧。さらに特筆すべきは、ペルー・クスコの世界遺産サクサイワマン遺跡における満天の星空と巨石群に囲まれながらのソロリサイタルであろう。2017年、国内では福岡、兵庫のほか東京・紀尾井ホールでも6年ぶりにリサイタル開催。ペルー・リマにて「黎明期の日本ギター曲」リサイタル。また、ロシア・サンクトペテルブルグ・フィルハーモニア大ホールでのバッハリサイタルが超満員となる。山下のバッハ演奏は名高く、今年4月のイタリアツアーでも前年に続き「無伴奏チェロ組曲全6曲」2夜コンサートが開催された。また、ヴィチェンツア市にある世界遺産・テアトロオリンピコでのソロ・リサイタルが大成功をおさめた。年内に南米および北米ツアーも予定。
1961年長崎市に生まれ、父、山下亨に8歳よりギターを学ぶ。また作曲家の小船幸次郎に師事。15歳で全国コンクール(現・東京国際ギター・コンクール)に優勝のあと、16歳の時にラミレス、アレッサンドリア国際、パリ国際の世界三大ギター・コンクールに、いずれも史上最年少優勝という快挙をなし遂げた。その後、日本国内や欧米に演奏旅行を重ねながら、次々と話題となる録音を発表。1981年の自編<展覧会の絵>が大反響を得る。以後、<火の鳥><シェエラザード><新世界より>などオーケストラ用大曲を次々とギター用にアレンジ、さらに<バッハ:無伴奏ヴァイオリン・チェロ・フルート・リュート組曲BWV995-1013(5CDs)」を連続して録音したシリーズは、特に名高く、特殊な技法も併せて前人未踏の域を示した。かたわら<ソル:ギター曲全集(16CDs)>、<ヴィラロボス><カステルヌオーヴォ=テデスコ:ゴヤによる24のカプリチョス(世界初録音)>などギター本来のレパートリーにも、名演の誉れ高い。

ウィーンのムジークフェライン大ホール、ニューヨークのリンカーンセンター、シカゴのオーケストラルホール、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニア大ホールなどでソロリサイタル。1984年トロント国際ギター・フェスティバルでセンセーションを呼んで以来、その名声は国際的にも既に不動のものといえる。L.スラットキン、R.フリューベック・デ・ブルゴスなど世界的指揮者やオーケストラとも数々共演。またジャズギタリストのラリー・コリエルやフルートのJ. ゴールウェイ、コントラバスのゲリー・カー、東京クヮルテットなどと共演。また長年にわたり、演奏活動のかたわら、日本の雅楽および古楽の調査・研究をかさね、その範囲は国内のみにとどまらず、はるか大仏開眼式の昔にさかのぼる隣国・遠国のルーツをたどって、韓国・カンボジア・ヴェトナムにも及ぶ。2004年からは、家庭内音楽の復興を目指して自身の子供たちとともに「山下和仁ファミリーカルテット・クインテット」を結成し、欧州屈指のコルドバ国際ギターフェスティバルに2度招待されたほか、欧米アジア各地で公演。長女(紅弓)とはギターデュオCDも発売しており、次女(愛陽)とは2014年パリ公演のほか2015年にはエストニア国立交響楽団とダブルギター協奏曲を演奏している。
 国内外の作曲家たちの新作委嘱初演にも意欲的で、山下和仁のために書かれた作品は60曲を越えている。CD「黎明期の日本ギター曲集」で平成11年度文化庁芸術祭大賞を受賞。