#42
2014.9.21

お茶の産地として有名な福岡県八女市は「竹」も特産品です。

ちょうど一年前、その竹を使ってギター製作をしている珍しい「バンブーギター製作講座(中山修氏主宰)」の皆さんが主催されたバンブーギターフェスタに
私が使っている楽器を製作して下さった松村雅亘さんが出展されるという情報を長崎のギタリスト松永知子さんからキャッチしお会いしに行きました。(バンブーギターフェスタ 2013 in 八女)。

その後、松村さんとバンブーギター製作講座会長の前田さんと事務局長の森さんからお手紙を頂いて、来年はすたじおGを起用して八女市制60周年記念行事としてのフェスティバルを開催することにより、バンブーギターだけでなく、広くクラシックギター全体への催し物を開催するという企画が発足したのが昨年の12月でした。
同じく松村さんと親交がおありで福岡・海外でご活躍のギター製作家中村通さんとバンブーギター製作講座代表の方と打ち合わせを重ねていた矢先の1月末に松村さん急遽の報を受けました。

「このフェスティバルの遂行は松村さんからの遺言だ」と感じ、生涯を通じて芸術、文化の素晴らしさを伝え続けた松村さんの遺志を継ぐつもりで準備を続けてきました。

同じ遺志を受け継いでくださり、初日に松村さんの追悼式を入れる企画をはじめ、様々な部分ですたじおGへ深い理解をくださったバンブーギター製作講座の皆さんと八女市の職員の方々に感謝致します。

と同時に、企画が進む際、レールが行き詰まっても松村さんのお名前の力でトンネルを抜けるようにバンブーギターから一般のクラシックギターへと道が広がって行ったことは、昨年のギターフェスティバルに於いて短い八女滞在時間に松村さんが多くのことを八女市の職員の方と中山先生とその門下生に伝えてくださっていたのだと何度も何度もその存在の大きさを噛み締めることとなりました。

 

 

八女市制60周年記念イベントとして開催されたギターフェスタ in 八女、9/20当日の会場の様子。

左手にバンブーギター製作講座の皆さんの作品。奥には全国各地、はたまた海外からも楽器を携えて参加、出展して下さった皆さんの作品が展示されています。

 

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地元福岡からはアストリアスギターと、中村 通さん(直前までスペインの展示会に参加されていて、帰りの飛行機がストライキで飛ばず帰国が心配されましたが何とか戻ってこられました)が出展されました。

 

数々の楽器が出展されていましたが、どれも製作家の想いがつまった個性があり、その想いが音になって現れます。

演奏家が弾いたときに客席からどのように聴こえるのか?

ということで会期中3回に分けて全ての出展楽器を私と松永さんがステージで演奏する「聴き比べ」の時間を設定しました。
下の写真は特徴的な口輪のモザイクのデザインから判断すると中村さんの作品を私が試奏(足台を使用している写真は貴重?!)している様子です。

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松永さんが試奏しているのは韓国から参加して下さったウム ホンシクさんの楽器。
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ホンシクさんとの出会いは松村雅亘さんが主催された2008年の大阪府茨木市クラシックギターフェスティバルに遡ります。

日韓交流コンサートと題された両国の製作家の作品を様々なギタリストたちが演奏するプログラムで、最後に韓国ギター製作家の最重鎮、ウム テホン氏の楽器を担当するギタリストを誰にするか松村さんが考えておられた時に私が「フェスティバルに参加したい」と言っていることを早くから参加することになっていた松永さんが伝え、トントン拍子に話が決まったのでした(その時の様子はブログすたじおGに載っています。 10年後にもう一度弾かせて欲しいなどと書いていますが、その日は、6年後に来たことになります。サイトの動画集の4番目に演奏もあります)。
そのウム テホンさんのご子息がウム ホンシクさんです。

2008年当時はまだ別の仕事をされていて製作家の道には入っておらず、ホンシクさんは数年間日本で仕事をしていた経験もあって日本語が話せるところから、お父様(と韓国からの製作家、演奏家の団体)の通訳サポートで来日されてました。
現在では3代目としてギター製作の道を歩まれ、着々と実績を積んでおられます。

茨木市でのフェスティバルをきっかけにホンシクさんとの交流が始まり、その後、何度も韓国のギターフェスティバルでの仕事でお世話になりました。

そして、今回、八女のフェスティバルの事を中村さんから聞いて参加してくださいました。
今回はお父様、ウム テホンさん作のギターとご自身のギターと2台持ってきて下さっていて、下の写真は、お父様のギターを試奏させて頂いているところです。

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茨木市のフェスティバルの時の作品は楽器自体がスゴいパワーを持っていて,プレイヤーにもそれに見合ったパワーを要求してくる楽器でした。
当時は「堅くて弾けないのは演奏家が弱いからだ」という考えだったそうで、誰が助言しても決して緩めることはなかったそうですが、
私と韓国のギタリスト ペ・チャングムさんの2人が「しんどい」と言ったら少し弾き易く作るようになった、と笑いながらホンシクさんが教えてくれました。

 

写真はヤマハで長年監修を務められた江崎秀行さんのギターです。
二日目は、江崎さんの機転で松→杉→松と表板の材料が違うギターを短時間で持ち替えて弾く事で音色の違いを皆さんと確認するという一コマがありました。
これは、かなり多くの方にハッキリと違いが聴き取れたのではないかといい企画だったと思っています。

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いつも松村さん関係の時に私に情報をくれる松永さんが、今まさに弾き終えたばっかりの感無量の表情の楽器は故 松村雅亘さん製作、1997年のブーシェタイプの楽器です。

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ここからは2日目のメインイベントであるコンサート「響宴」からの一コマ。

故 松村雅亘さん1995年製作、私の血と汗と涙と汗と汗と汗….が沁み込んだ、もうこれ無しでは私の音楽は存在しないほどの大切な楽器です。
この楽器があるから私がある、石川五ェ門の斬鉄剣、ルパン三世のワルサーP38のようなものだと思っています。

自分の楽器ですからエルゴプレイを使ってます。
追悼式へのご出席を快く受け入れてくださり、今となっては限られた本数になってしまった貴重な松村ギターを2台も携えて、大阪からお越し下さった松村さんの奥様と息子さんにもしっかり松村トーンが届けられたのではないかなと思っています。

追悼式では、中山修さん、中村通さん、矢木聡明さんらが追悼の辞を述べられ、橋口武史による献奏(F.ソル エチュード)に続き、松村さんのご子息からご挨拶を頂きました。

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コンサート「響宴」は地元みやま市から壇 遼さん、北九州市から池田慎司さん、そして長崎市から松永知子さんと4人の九州のギタリストで演奏をお届けしました。

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私にとって初共演のフレッシュな壇さん、12年ぶりに待望の再共演ができた池田さん、昨年のフェスティバルで試奏中に八女市長から是非来年演奏を、と依頼されたキーパーソン松永さんという4人。

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この日のために結成されたカルテット、一度きりでは勿体ないと自分たちで思うくらいの結束力で熱く(後半はステージが暑かったです^^;)演奏をお届けしました。

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壇さんの先生であられる石橋正一さんのバンブーギター弾き比べや、松永知子さんによる中山修氏製作バンブーギターコンサート、飛び入りで野田かつひこさんのバンブーギターを使ったフォークソングのステージなども楽しいステージでした。

客席を埋めて頂いた200人以上の方にクラシックギターの良さをお伝え出来たとしたらすたじおGとしての役目は果たせたかな、と思っています。
フェスティバルにお越し下さった皆さん、フェスティバル実行委員の皆さん、共演者のみなさん、ありがとうございました。
八女市職員の皆様、UGE八女ギター室内合奏団の皆様の後援とご来場、ありがとうございました。

そして、日本全国、そして韓国、遠くから、大事な楽器を出展して橋口武史と松永知子に試奏を委ねられた、アマチュアとプロのギター製作家の皆様、アストリアスギターの出展を快諾してくださったロッコーマン武田さんに心からお礼を申し上げます。

中山さん初め多くの方は2008年の茨木のギターフェスティバルからのつながりがありました。あの時があったからこそ、松村さんが見てあった世界が長い時を経てまた実現したと思っています。
「時間がかかってもいいやんか、音楽を楽しめれば・・・。それがどんなにありがたいことか。結果を急いだらいかん、楽しまなあかん」演奏家にも製作家にも、いつも同じことを言われていました。

ご冥福をお祈り致します。

 

このイベントによって、クラシックギターがより皆様に近づくことを心より願っております。

ギター出展者
(丸二日間ご一緒だったにも関わらず、全員とお話出来たわけではありません。この場をお借りして改めてお礼申し上げます。そして、このブログで全ギターの写真掲載ができずにすみませんでした。)
・故 松村 雅亘氏(大阪/特別出展)
・中山 修氏(福岡/バンブーギター、クラシックギター)
・アストリアスギター製造(福岡/久留米)
・井上 保人氏(東京)
・矢木 聡明氏(愛知)
・矢敷 惠氏(兵庫)
・平山 照秋氏(兵庫)
・宇野 充氏(滋賀)
・江崎 秀行氏(静岡)
・井上 義昭氏(熊本)
・中村 通氏(福岡)
・増村 淳氏(熊本)
・ウム・ホンシク氏(韓国 ソウル)
・バンブーギター製作講座の皆さん(福岡)
※掲載順不同

すたじおG

 橋口武史・奈穂子

“ギターフェスタ2014 in 八女 終了しました” への 2 件のフィードバック

  1. Satoko Furukawa より:

    素敵な企画、コンサート。ご成功おめでとうございます。
    福岡でもカルテットが聞かせて戴けたら嬉しいです

    1. ギタリスト 橋口 武史 より:

      古川さんコメントありがとうございます。福岡でもコンサート出来るようにしたいと思っています!

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